弊団体では、家庭での体罰が法律で禁止される前から、「たたかない怒鳴らない子育てーポジティブ・ディシプリン®︎ー」プログラムを養育者の方にお届けしてきました。
このプログラムは、科学的な根拠に基づいて開発されたもので、プログラムの効果についても、参加された方からのアンケートによって、調査しています。
養育者の大事な時間を18時間(2時間×9セッション)かけて行うプログラムであるため、その効果への説明が必要だと考えます。プログラムを主催する自治体や子育て支援団体においても、9回会場を抑え、託児を用意することは、とても大変なことです。ちゃんと養育者さんのためになるのか、役に立つのかについて、この度 #公益財団法人日本財団 様のご支援を得てまとめましたので、ご報告致します。
さて、ポジティブ・ディシプリン®︎に参加することによって、どんな変化があったのでしょうか。
本報告では概要のご報告になります。詳細は、日本財団ポータルサイト(画像をクリックして移動できます)にてご確認いただけますよう、お願い致します。
方法
期間:2020年4月~2022年3月(8標準プログラム)
対象:日本財団助成事業において実施された標準プログラムに参加した養育者63名
方法:プログラム開始前と終了時と2回、参加者に効果分析のデータとなるアンケートにご協力いただきました。
※回答データに基づく測定結果表記(グラフ)は、本プログラムの開発およびデータセンターを管理している非営利団体「Positive Discipline in Everyday Life」に委託して実施された。考察は弊団体にて記述する。
効果分析結果の概要
1. 回答者
97%が母親で、30歳以上が87%でした。
最終学歴は約76%が短期大学または大学を卒業し、そのうち修士号または博士号保持者が16%であったことから、高学歴の傾向が見られました。
2. プログラムへの満足度
プログラム全体について、「おおむね満足」もしくは「とても満足」の回答が100%であり、満足度が高かったです。18時間というプログラムの長さについても、もっと「短い方が良い」は0%であり、回答者の満足度がうかがわれます。
3. 身体的な罰に対しての態度の変化
賛成の傾向にあった方は減り、95%の回答者がプログラム参加後に、身体的な罰へ否定的態度になりました。
4. 本プログラムの効果についての考え
参加者の97%以上が、「身体的な罰の使用を減らすのに役立つだろう」「私の怒りのコントロールに役立つだろう」「子どもとのコミュニケーションをよりよくするのに役立つだろう」いずれに対しても、肯定的な評価をしました。
参考
本プログラムは、書籍 「子どもへの体罰を根絶するために 〜臨床家・実務者のためのガイダンス〜」エリザベス・T・ガースホフ / シャウナ・J・リー 編 溝口史剛 訳 明石書店 にて紹介されています。書籍では以下のように報告されています。
カナダにおける、受講後3ヶ月の時点で回答を行った親23名を対象とした研究において、PDEPプログラムに参加する前1年間に体罰を行ったと報告した親は43%であったが、参加後に体罰を行ったと申告した親の割合は19%であった。プログラム参加後に体罰を行ったと報告した親においても、うち67%がプログラムを受ける前よりも体罰を行う頻度は下がった、と回答していた。
まとめ
以上の結果から、ポジティブ・ディシプリン®︎プログラムは
養育者が満足するものであり、かつ体罰防止の効果をもたらす可能性が示されたと考えられます。
本報告の正式な報告書は、日本財団ポータルサイトCANPANに掲載されています。
リンクはこちらです。(https://fields.canpan.info/report/detail/28306)
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