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執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

親も子もがんばってる~子どもから見た世界〜

今日もご飯やお風呂,歯磨きを終え,ほっとしているところです。

皆さんも,なんとか親としてやり遂げた

と眠りにつく日があるのではないでしょうか。


プログラムにご参加くださる方も,

会場に到着するまでに

既に一仕事〜様々な家事や家族のおせわ〜をして,ほっとされてる時があります。


子育てをしながら,仕事をしたり

子育てをしながら,時間を作ってプログラムに参加したりと

養育者の方の姿に,胸を打たれることはよくあります。


このような見方は,私が親であり,親側から見た感想です。

次に,子どもからみた世界を考えたいと思います。


ポジティブ・ディシプリンでは、効果的な子育てに必要とされる、 4原則があります。

その一つが「#子どもの考え方・感じ方を理解すること」です。


子どもはどんな感じ方,考え方をしているのでしょうか。

子どもに問題が生じたときに,子どもの話をよく聴き,子どもの世界を語ってくれる

精神科の先生の著書(「子どもの臨床」著:小倉清 岩崎学術出版社)から引用したいと思います。


大人に比べて子どもは知識や経験や技術に乏しいのが普通である。知識は経験を上まわるかもしれないが,種々の技術はなんと言っても未熟である。子どもが毎日の生活の中で遭遇し,処理しなければならない事態の多くは初めての体験であろうと思われる。そこで子どもは毎日毎日,試行錯誤を繰り返さねばならなくなる。〜そうなると,子どもにとっては毎日が大変なストレスの連続となるわけで,手に余る事態を数多くかかえこんで押し潰されんばかりの日々を送っているのである。

子どもを表現するのに“天真爛漫”とか,単純など使われたりしますが

かなり違う子ども像のように感じます。このようにも述べています。


一般には,幼な児は苦労がなくて,イノセントで,人生で一番幸せな時ということになっている。それは人がそうあってほしいと願う神話のようなものである。

子どもがどのような葛藤やストレスを持ちながら生活しているのか,

イメージを広げると,子どもの一見わがままに見える行動の理由が理解できるかもしれません。行動を叱るだけでなく,行動の理由を理解し,一緒に考えることができるでしょう。


生後1ヶ月半まででのこと

1歳をすぎると普通は歩き始めるようになる。〜これは赤ん坊にとっては大きな変化である。ちょうど大人が車の免許を初めてとって,運転を楽しむようになるのと比べられよう。〜しかし,まわりはあれだけ歩き始めることを望み,一時は確かに喜んでもくれたのに,今度は一変して,危ない危ないと言って後を追いまわして赤ん坊が歩くのを制限しようとするのです。これは赤ん坊の眼からすれば裏切りでもあるし,意地悪でもある。

私たち大人はもちろん,子どもの安全を守るために,追いまわして制限します。

それを子どもの眼から見たら「裏切り」や「意地悪」と思われてしまう!

衝撃ですが,なるほどと思えます。

そう理解すると,「そっちはダメ」と捕まえた子どもがわめき散らすとしても

「意地悪じゃないんだよ。危ないからね」と声をかけられるかもしれません。


1歳〜3,4歳くらいのこと

排泄が行われるためには,それに必要な骨格・筋肉・神経の発達が不可欠である。それらの発達以前に排泄させようとしても無理である。また発達がある程度行われたとしても,排泄の習慣が自然に身につくのではなく,訓練が必要である。訓練を子どもが受け入れるのは,親の愛情を信ずることができるときであろう。

幼稚園によっては,トイレトレーニングが済んでいないと入園を拒む説明をするところもあ


ります。トイレトレーニングは夏がいいという話を聞いたりします。そんな大人の都合やプレッシャーで,親は子どもの発達をさて置いてトレーニングを始めることがあると思います。しかし,その時点の子どもにとって,無理なことかもしれないんですね。

あまりに親がトレーニングの成果に夢中になって,子どもが親の愛情を信じることができない振る舞いをする。すると訓練を子どもが受け入れない,ということもあり得る。

悲しいのは,その子どもの姿を反抗的と言って,子どもを脅したり叩いたりしてしまうことでしょう。

自分にはコントロールできない事柄に対する罰から逃げられないって、どういうものでしょうか。

子どもの状況を理解できると,行動を叱るだけでなく,発達状況を理解し,トレーニングの良い時期を小児科医や発達の専門家に相談して,考えることができるでしょう。


幼稚園などに入ること

母が眼の前にいなくても,母の愛情を信ずることができるのかどうか,急場に母がいなくても,自分の中にある資質をどれだけ信じることができるのかどうか,譲り,与え,我慢し,待つということがどの程度できるのか,自分で判断し決断し行動するということがどの程度できるのか,学習という場の中に自らを十分に出してゆくという自主性・積極性がどれくらいあるのかーなどと言ったことが問われるのである。これらは大きな心理的負担になるのであろう。

私たち親も,幼稚園や保育園に子どもを預けることは,生活の大きな変化であり

「忘れ物がないか」

「子どもを遅れることなく送り,迎えにいけるだろうか」

「先生はいい先生だろうか」

「子どもはうまくやっていけるのか」

「他の養育者とどのようにお付き合いすればいいのか」

など大きなプレッシャーを感じます。

自分のプレッシャーにいっぱいいっぱいになって,私も頑張ってるんだから,あなたも頑張ってよ,と子どもに詫したい気持ちになることがあると思います。

また,園にも「子どもが行きたいと思えるような魅力的な場所であってくれ」と託したくなるかもしれません。


しかし,園でうまく子どもがやっていけるのは,

子どもにとって魅力的な場所であるかの前に

「母の愛情を信ずることができるのかどうか」

「自分の中にある資質をどれだけ信じることができるのか」

という問題があるのですね。

そうすると,子どもを行かせるために怒ったり,

「そんなんじゃダメだよ」と怒鳴ったりするのは逆効果だと気づきます。

子どもの感じ方・世界を理解できると,行動を叱るだけでなく,子どもの不安に目を向け,子どもやパートナー,先生に相談して考えることができるでしょう。


このように

ポジティブ・ディシプリンでは、効果的な子育てに

「子どもの考え方・感じ方を理解すること」が必要だとお伝えしています。


4月から入園したり,入学・進級して,親子ともに大変な方もいらっしゃると思います。

自分自身がどんなプレッシャーの中にいるのか,自分にも温かい目をむけ

同じようにプレッシャーの中にいる子どもを想像してみませんか。


子どもはその成長過程のなかで「正常な適応失敗」を繰り返していくのである。次つぎとおそってくる種々の葛藤との戦いに失敗することを通して,だんだんと自分に即した資質を確かなものにしながら成長させてゆくのである。この意味からすると,子どもに子ども自身の失敗をさせてやることが大切になってくる。

適度なプレッシャーは人を育てますし,プレッシャーを首尾よく人に支えられて乗り越えると自信や喜びが生じます。


失敗しても大丈夫と,私たち大人が子どもを信じて,安心して見守れるか。

ここができなくても,こっちができるからスゴイと認めたり,

できなくても「できるようになるよ」と辛抱強く支えることができるといいかもしれません。

どうぞ,親子お互い支え合い,

先生方や親族,友人,子育て支援者の協力を得て,過ごされますようにと願います。

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