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Never Violence  暴力のない子育てを当たり前に


Never Violence  ー暴力からの解放ー「アストリッド・リンドグレーン」

「ぼくはせんそうがこわいです。あなたもですか?」

「ええ、わたしもこわいです。人はみなそうでしょう。」

「誰にとっても「安心安全で、自分も人も尊重する、大切にできる」そうした日々の暮らしを保証すること。


 子どもの発達段階を理解尊重し、互いを尊重し合える関係を作る。安心安全な環境こそ、子どもに大切なものであり、子どもを育むとき、育まれるときに、私たちの間に暴力はいらない。

スウェーデンのデモクラティックな保育(*デモクラティックな保育 については横浜市青葉区の千草の森保育園の実践をご覧ください。)、子育て観と非暴力の子育てについて、スウェーデン社会で明確に唱えた女性がいました。

児童文学「長くつ下のピッピ」で知られる著者である児童文学作家のアストリッド・リンドグレーンです。


 スウェーデンでは、社会のオピニオンリーダーとして知らない人はいないリンドグレーンは、1978年にドイツで行われた授賞式であるスピーチをします。

そのスピーチこそが、「子どもへの暴力から私たちが自由になること=もう暴力はしないと誓うこと」でした。

1979年、スウェーデン政府が世界に先駆けて「子どもへの体罰禁止」を初めて法律で明文化し、子どもへの体罰のない社会を創ったこと、世界53カ国へと広がっていることは、先日のスウェーデン大使館でのシンポジウム報告でお知らせした通りです。

 では、アストリッド・リンドグレーンとはどんな女性だったのでしょうか?

「遊んで遊んで遊びました」アストリッド・リンドグレーン


スウェーデン大使館のシンポジウムでも、リンドグレーンのお孫さんがスピーチの中で彼女のことを紹介していました。

 スウェーデンの南部のスモーランド地方の大きな農場で育ったアストリッド・リンドグレーンは、きょうだいをはじめとした近所の大勢の子どもたちと自然の中で、たくさんの遊びをして過ごしてきたことが知られています。しばしば彼女の作品には、彼女が子ども時代に過ごした豊かな自然の中での暮らしと遊びの体験が随所に現れています。

 著名な児童文学作家であったリンドグレーンは、晩年のインタビューの中で、

「児童文学によって子どもをどうしつけたらいいのでしょうか?」という質問を受けることについてこう答えています。

「わたしは何も意味しようとは思っていません。わたしはわたし自身の中にいる子どもを喜ばせるためだけに書いてきたのです。そしてそれがもしかしたら他の子も楽しませてくれるかもしれないと望んだだけなのです。」

「わたしはわたしの中にずっと存在している昔子どもだった当時のわたし自身以上にインスピレーションを受ける子どもはいません、と。誰もが一度子どもであったに違いないわけです。そしてだいたいこうだったと思い出すわけなのです。」

 またリンドグレーンは、子どもからのファンレターの質問についてもこのように答えていることを話しています。

「ぼくはせんそうがこわいです。あなたもですか?」

子どもに対しても正直でありたいと考えたアストリッドはこう答えました。

「ええ、わたしもこわいです。人はみなそうでしょう。」(ピッピの生みの親アストリッド・リンドグレーン 三瓶恵子著 岩波書店)

大人だって戦争が怖い。大人だって戦争が怖いと言えること、正直で正しくありたいと思う。大人も、子どもも、誰もが安心して、自分のこと大切にされる中で過ごしたいですよね。

誰も、恐怖や苦しみの中で暮らしたいとは考えていないのです。

 大人も、子どもも、「安心で安全で大切にされて暮らしたい」皆願っていることは同じなのです。そうしたことを言いづらい時代に正直でありたい、暴力に対してNOということに声を上げることができた女性でした。

 私たちが日常生活の中でできる「安心と安全」、相手を「尊重すること=大切にすること」とは、大人にとっても子どもにとっても、誰にとっても安心で安全で快適な場所や空間を準備することなのではないでしょうか。

「誰にとっても「安心安全で、自分も人も尊重する、大切にできる」そうした日々の暮らしを保証すること。

 「ポジティブ・ディシプリン」もまた、子育てを担う、すべての養育者の方々と目の前の子どもたちにとって「安心安全で、自分も人も尊重する、大切にできる」ことを伝えるプログラムとして、日々の子育てを保証する「安全基地」でありたいと思います。

 最後に、スウェーデン社会の子育て観に大きな影響を与えた アストリッド・リンドグレーンは1978年にドイツで行われた授賞式でこんな文章を読み上げました。その一部をご紹介して終わりたいと思います。

73回目の終戦記念日を迎える日に。

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もっと厳しい育て方や、もっときつく子どもたちの手綱を引き締めることを、今大声で主張する方々には、ある時、高齢の女性が、わたくしに打ち明けてくださったことをお話ししたいと思います。例の「鞭を惜しむと子どもはダメになる」という考え方をもともと信じてはいなかったのですが、ある時小さな息子が何か良くないことをしたので、初めて、息子に鞭を打たねばならないと思い、外へ行って母さんのために鞭を探してくるように、と息子に言いつけました。小さな息子は出て行き、長い間帰ってきませんでした。ついにないながら帰ってきた息子は、こういいました。「ぼくは、むちを見つけられなかったけど、母さんがぼくになげつけられる石を見つけたよ。」すると、彼女もまた泣き出したのです。彼女は突然、息子の目に全てを読み取りました。息子は、「母さんは、ぼくを痛い目に合わせたいんだ。それなら石でもいいだろう」と考えたに違いなかったのです。

 彼女は、息子を老腕で抱きしめ、二人はしばらく一緒に泣きました。その後、彼女は石を台所の棚の上に置きました。そしてその石は、彼女がその時自分に誓った約束、「暴力は絶対だめ!」をえいえいんに覚えておくために、ずっとそこに置かれました。

(暴力は絶対ダメ!アストリッド・リンドグレーン著 石井登志子訳 岩波書店)



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