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  • 執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

「(第一次)反抗期」で脱皮する親子


ポジティブ・ディシプリンでは、

0歳から18歳までの各年代の特徴、発達の進み方、よくある親子の衝突

を学びます。

私たちが知らない国を旅行する時、ある程度調べて行くのと、知らずに飛び込むのとでは、緊張感・不安感が違いますよね。子育ても同じです。


前回のブログ(「かんしゃくってなんなの?」)では、#かんしゃく は親子にとってどんな意味があるのかについて考えてみました。

今回は、反抗や自己主張が強くなる年代の子どもの発達の進み方(#発達段階)、親の発達についての研究結果をご紹介します。

子どものかんしゃくや「イヤイヤ」「自分自分」で、イライラしたりお困りな養育者の方へ、この年代の子どもの理解やこの時期を乗り越える道しるべとして参考になれば嬉しいです。

引用書籍:

①「子どもの反抗期における母親の発達」坂上裕子著

②「親子関係の生涯発達心理学」氏家達夫 高濱裕子 編著

【子どもの年代】

一般的に「#反抗期」と言われますが、その中心的な時期は書籍によって、2歳代であったり3歳代であったりします。

上記①の書籍では、

開始時期を1歳6ヶ月齢頃、中心的時期が2歳代を妥当としています。

②の書籍では中心時期を27~33ヶ月としています。

私の子育てでは、11歳頃までかんしゃくが続いていたと思っているのですが、それはまた別のブログでご紹介します(笑)

【子どもの発達の特徴】

立って歩けるようになり、周囲の環境の探索・冒険を行う。

(それは危険だったり、養育者のして欲しくないものだったりするため、養育者から禁止や制限を引き出す。養育者から見て同じことを何度もされると、反抗と感じられるかもしれません。)

次に、記憶やイメージができるようになり、自分と自分以外がわかってきて自己意識が芽生える。記憶能力の向上や因果関係の理解が進むことも加わって、子どもは意思を持って動き回り(探索行動)、自分の意図や要求を強く主張し、禁止や制限をする大人には意図的に従わない態度も取る。

(養育者からすると不従順さが、わがまま・ルールを守らないと感じ、頭にくることが多くなると思います)

この時期はまだ、言語や視力、運動能力など様々なスキルが未熟だったり、因果関係の理解が始まっていてもまだ不十分なので、自分が思い描くようにうまくいかなくって子ども自身にフラストレーションが多い。

(まさに「かんしゃく」。養育者から見たら「そうなるに決まってるでしょ」も、経験のなせる技。勝手にやって勝手に怒って、、、と自分勝手や頑固に見えることも)

【子どもの自己主張の進み方と親の変化】

(1)【子ども】反抗・自己主張する変化が唐突に始まる 2歳前後

【 親 】具体的な場面で目の前の我が子への具体的目標(生活習慣の確立、自立性、健康と安全、礼儀やマナーなどの程度)が明確になってくる。子どもの自己主張が目立ち始めると、親はうまく自己を発達させたサインとみなし、自我をより育て自己主張を洗練させるよりも、自己主張を収束させるように強圧的な態度を取りがちになる(第1子の親に多い)。

(2)【子ども】数ヶ月〜半年の間に反抗・自己主張のピーク

 子どもは心身の成長により自己意識が芽生えたことで、それまであった(母)親との一体感の喜びや全能感を手放さなくてはいけなくなり、非常に苦痛が伴う。自己を通そうとする気持ち⇄自分から他の人に合わせて従おうとする気持ち、また自分でたくさんのことができるようになりたい欲求⇆他者から助けてもらいたい気持ちの間で葛藤する。それは急激な気分の変化やかんしゃくを引き起こす。

【 親 】反抗・自己主張をなんとかしようとするが、主張はすさまじく統制困難。養育者としては、譲れない目標(生活習慣、健康、安全、マナーなどの程度)が具体的になっていて、子どもの理解者でありたい気持ちと子どもをしつける社会化の責任感の間で葛藤がおこる。加えて、反抗や自己主張が激しかったり繰り返される時、親に時間的・精神的余裕がない時、子どもの行動に不合理さを感じた時に、親自身の気持ちは瞬間的に堪えがたいいらだちがわき、子どもへ否定的な感情も持つようにもなる。親自身の視点、子どもの理解者としての視点、子どもの社会スキルの担い手の視点で葛藤し、しつけを試行錯誤し、心理的負担が著しく大きくなる。乳児期を通して作られた親子の関係は、それまでの状態から不安定な状況へ変化する。

(3)【子ども】激しい反抗の沈静化   3歳代

 子どもは言葉が発達し、一方で生活習慣(食事、排泄、着脱衣など)も確立してくるのに伴い、親とのつながりを維持する新しい方法、例えば妥協したり、取引したり、気を紛らしたりなどを身につける。また、より多くのルールや基準を学び、一貫した規則を自分の中に取り入れる。

【 親 】不安定となった親子関係を安定させるために、思い通りいかない子どもを前に親は次のような適応(発達)をしていく。

・子どもの言語・理解力・興味関心の発達から、子どもの個性に応じて、お互いの理解や譲歩による調整や交渉という対処のレパートリーを試行錯誤して身につける。

・子どもへの期待や思い込みを、目の前の我が子に合うよう修正して、自分目線から脱する。


・うまく行かない状況打開のため、周りにある資源、例えば夫や祖父母、保育の専門家などを活用するようになり、親子間の緊張がゆるむ。

参考書籍では、上のような変化を経て、親子は新しい関係性(システム)を作り上げると言います。それは私には、当分親子を支えていた古い皮(関係性)を、もがいているうちに体力・筋力がついて破れるようになり、脱皮する姿に似ているように思えます。

①の書籍の最後の方に書かれている文章を引用します。

母親が、親としての発達をこの時期にとげていったのは、この時期に子ども自身が抱えているであろう葛藤に真剣に向かい合い、またその中で、自分自身の内面とも向かい合っていったからに他ならないであろう。しかし、忘れてならないのは、母親の発達は、決して母親1人の努力のみに帰させられるものではなかった、ということである。本研究の結果からは、母親の発達は子どもの発達や母親を支える他者の存在があって初めて、展開して行くものであることが示唆された。(略)これは、父親を積極的に育児に巻き込んでいくことや、ほかの親子との交流を持つことなど、母親を支える人的なネットワークが存在し、それらが機能することの重要性を示唆している。

母親1人の子育てが多い現代の状況は、人間の長い歴史で異常な状態であることが研究者から指摘されています。ポジティブ・ディシプリンでは、養育者と世界の研究の知見がつながりますし、ファシリテーター・参加者同士・子ども家庭支援センターなど支援団体ともつながります。

今回は、”反抗期”がテーマでしたが、

子どもが発達する時には、同じようにこれまでの親子関係ではうまくいかなくなりがちです。

ポジティブ・ディシプリンで、子どもの発達を知り、バージョンアップしていく親子関係の積み上げ方を考えることができます。

ぜひ、ポジティブ・ディシプリンを知っていただいて、より不安なく予期余裕が持て、脱皮後の親子関係を楽しみにできる子育てができますよう願っております。

※書籍の著者もお断りしていますが、研究への協力者(養育者)さんは、都市在住・高学歴傾向であったりするため、今回の研究結果の記述が全ての親子に当てはまるものではないことをご了承ください。

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