先日、小学校高学年の娘に
シュトーレンがドイツのお菓子だと話すと
娘が「ドイツなんだ、なんだか怖いね」と言う。
話を聞いてみると、娘の知識に出てくるドイツはアンネ・フランクに関するものばかり。娘には
「もっとドイツの情報が必要だね。情報が少ないと差別的な見方になっちゃうね」と話し、私もドイツのことを調べることに😄
さて、みなさんは、次のような情報を聞いた時、どのような理由や印象を持つでしょうか。
a)日本人の脳の重さの平均は、女性(1200~1250g)より男性(1350g)の方が重い
b)3、4歳の子どもが、親が怒っているとき、真面目に聞かずふざける
c)赤ちゃんを、上の2歳の子が押したり乱暴にする
どちらかを優秀もしくは劣っているとか、悪い性質を持っている
と判断が働きましたか。
因みに、上の文章に、以下の情報を足すとどうでしょうか。
a-2)女性の脳は、大脳皮質(人間らしくする高次の脳)が男性と比べて約100~150㎤小さいが、ニューロン(脳の神経細胞)の密度は女性の方が高く、IQの優劣に関する調査などから、女性の脳の方が効率よく働いていると言われている。
(平山諭・保野孝弘 編著「脳科学からみた機能の発達」)
b-2)子どもによくよく話を聞いてみると、「怒っているお母さんの顔はこわい。お母さんに笑ってほしいからだよ」と答える。
(山梨県立大学人間福祉学部 西澤晢教授)
c-2))核家族で出産の間隔が3年未満の時、兄や姉となる1~2歳児は、急に母親が出産で消えた後、赤ちゃんを抱いて帰ってくる姿にショックを受け、自分は嫌われたと誤解しやすい。
(渡辺久子著「子育て支援と世代間伝達」)
1文だけを読むのと、情報が追加された後と、登場人物に対する印象が変わっているでしょうか。
人は、自分がしていることを妨害されると「怒り」を感じると言います。
例えば、朝、急いで子どもを保育園に連れて行こうとするのに、子どもの準備が進んでいないと、「怒り」を感じるのも、自分の行動を妨害されたと無意識的に感じるからと説明できます。
「怒り」という感情や、先ほどのa)〜c)の情報で自動的に生じる判断は、ほぼ無意識で生まれるものなので、それはそれでいいと思うのです。ここで「怒り」を感じる私は怒ってばかりの悪い親、と言って自分を責めることはしないでほしいなと思います。
それよりも、「いらつくなー」と自分の気持ちを受け止めて、そこから子ども(相手)の視点から見たり、たった今の状況でなく長い目で見たりして、情報を足して行く方が、良い判断ができます。
例えば、先の朝保育園へ送る例なら、「やっぱり、朝はイラつくなー!」と自分の気持ちを受け止めて、深呼吸し、子どもが別に自分の予定を妨害しようとしているわけではないことを確認したり、子どもが年齢的に服を着たり靴をはくのが簡単ではないことを思い出したり、月曜はやはり土日のゆったりリズムが残るから早めに準備することにしようと決めてから、子どもにどんな対応をするか判断するとより良い判断ができそうと思いませんか。
b)の叱っている子どもがふざけるという例だと、瞬間的にこの子は親をバカにしている悪い子と判断するかもしれません。でももう少し情報を増やすために、子どもへ「大切なことだから、話を聞かせてくれるかな。」と落ち着いて話し、3、4歳の子どもが興奮やパニックから溶けて、話すことにエネルギーを集中できるようすると、子どもを理解して導ける可能性が高まります。
少ない情報や、自分の視野だけで相手が悪いと判断すると、自分はそんなつもりがないのに、差別的になってしまったり、相手が悪いと判断し攻撃してしまったり、傷つけたりするミスが起こります。
相手が悪い!と怒りがこみ上げた時、
自分の自動的な思考とは別の『考え方』を持っていると、私たちが良い判断をする助けになります。
ポジティブ・ディシプリンは、子育ての『考え方』です。
効果的な育児の4原則
①長期的な目標を決める
②温かさと枠組みを示す
③子どもの考え方感じ方を理解する
④課題を解決する
のステップを踏むと、視野を広げることができ、子どもの視点から考えることもでき、
情報が増えることによって、子どもへのより良い対応ができます。
情報がたくさんあり過ぎて、あれもこれも誰も彼も満足させようとすると、手に負えなくなります。
『ポジティブ・ディシプリン』の4つのステップに絞って、子育てをチャレンジしてみてほしいです。
そして、しつけによって親子関係が破壊されていくのでなく、
しつけの機会を使って親子の信頼関係が育くまれていくのを感じてもらえると嬉しいです。