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  • 執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

「体罰は時に必要」だと思いますか?


体罰について、ちょっとずつ、具体的に考えてみたいと思います。

「体罰は時に必要」だと思いますか?

質問の仕方を変えてみます。

体罰を使ってでも子どもをしつけることは親の務めだと思いますか?

上の2つの質問いずれかでYesの方は、体罰容認と言えるでしょう。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2017年7月に行った、全国2万人を対象にしたしつけのための体罰等に関する意識調査※1では、体罰容認の大人は6割だと示されました。

「口で何度も言っても覚えないから、体に教えるために体罰も必要」と考えますか。

「記憶」能力は、大人と子どもで違います。加えて、人それぞれ注目することが違うので、個々人でも「記憶」しやすいことしにくいことは違ってきます。 記憶不良の方がいて、何度言っても記憶できず行動が変化しない場合、体罰で解決できるでしょうか。

もし「他に方法がない時には体罰が必要」と考える場合、それは、大人に対してもでしょうか?

何度もパートナーに話し、約束しても、自分が問題だと思うことに対処してもらえない時、体罰で訴えるでしょうか?例えば、脱いだ服は洗濯機に入れると約束させたのに、部屋に置きっ放しとか。何かをすぐにやって欲しいと言っても、「あとで」と言って、そのままやらないでいるとか。ウソはいけないのに、何度目かのウソをついたとか。

「お金を稼いでいる父親と子どもとでは違う」と、経済性を体罰をする理由にするのであれば、家庭外労働で対価を得ていない専業主婦(夫)も体罰を受ける存在でしょうか。以前はその理由で、女性への暴力をよしとする人もいましたが、今はDVで犯罪だと法制化されました。

子どもだからこそ、体罰は必要なのでしょうか?

子どもであろうとも、女性であろうとも、誰かに暴力を受ける理由にはならないでしょう。

研究では、「子どもだからこそ、体罰が効果的である」という関係性は見出されていません。

逆に、体罰は、健康的な心理的身体的な成長を損なう危険要因であるとして、子どもには、より体罰はよくない

と一貫して、研究では示されています。

『ポジティブ・ディシプリン』は、体罰を使わないで子育てができるよう、養育者を支援するために開発されました。

『ポジティブ・ディシプリン』は、親子の衝突に対し、

暴力を使わずに解決する『課題解決モデル』を提供しています。

衝突を解決する場面を、ちょっと思い描いてみてください。どんなイメージが湧くでしょうか。

次のような場面がすぐに、リアルに思い浮かぶでしょうか。


お互いに感情の爆発を抑えつつ、嫌味を言わず、相手のしたいことを聞き理解しようとして、「ではこうしたらどうか?」と意見をすり合わせる。お互いの理解が進むことによって、新しいアイディアも生まれてくる。

そんな経験はありますか。

もし私たちが、衝突の場面で、下のようなモデルばかりを持っていると、上の『課題解決モデル』はイメージしにくいでしょう。

・衝突場面では、正しい人と指導されるべき人がいて、正しい人が判断し相手に反省させる(例えば学校の先生と生徒)

・人前だから目立ちたくないと考え、揉めないように衝突にフタをする

・役割がはっきり決められていて、衝突を避ける(例えば、母親が子育ての責任を負うと考え、父親は関わらない)

・立場が優位な人が、感情的に対応する(例えば、子どもが点数が低いと怒るママキャラクター)

ポジティブ・ディシプリン講座では、

暴力を使わないで解決する『解決モデル』を、様々なワークで経験することができます。

現状の不快から早く脱したいけれど、子どもを脅して思い通り行動させようとする欲望を我慢して、

子どものスキルや道徳的価値観を育くむのには、発達段階を経る必要があることを理解し

暴力を使わずに子どもと一緒に協力して、

衝突を子どものスキルと親子の絆に変えていく、

『課題解決モデル』のしつけです。

私たちは、生まれてこれまでの人生を思い出そうとして、どれほどのものを思い出せるでしょうか。数十年間を思い出して、数十年の時間をかけて語ることはムリでしょう😄

自転車をどうやって乗れるようになったのかさえ、詳細に事実を積み上げて説明するのは難しいと思います。

同様に、今たくさんのことができる自分が、時間をかけて腕を上げてきたことは思い出せないでしょう。でも、その記憶から抜け落ちた時間は存在していて、子どもの成長に必要な時間です。

子どもたちが、何かを成し遂げるのには何度も練習が必要で、何度も失敗を乗り越えて、何度も教える必要があり、時間がかかります。

子どもが言葉を話すまでには、約1年、お腹の中にいるときも含めるともっと言葉を聞く時間を持っています。

私たちには、子どもの一歩は小さいかもしれないですが、一歩が重なって、いずれ大きな成長を感じる時がきます。

三歩進んで一歩下がる時があっても、赤ちゃん返りをする時期があっても、やっぱり時間を積み上げれば確実に成長します。

暴力も罰もいらない前向きなしつけ『ポジティブ・ディシプリン』は、

子どもの行動を変えるのに即効性があったとしても、体罰や罰は使いません。

代わりに、子どもが自ら進む学びの一歩を考え、温かくサポートし、子ども自身が考えてより良い行動を選べるよう応援します。

私たちファシリテーターは、前向きなしつけをして10年近くになります。

親も子どももなんども失敗を繰り返し、子どもの一歩を、子どもと一緒に考えてきたので、子どもの歩みを実感しています。そして、彼らの歩みを安心して信頼できます。

子どもたちも、落ち着いて自分の気持ちや考えを話し、相手の話しも受け止めて、問題を解決できるようになってきました。

だから、はっきりとお伝えすることができます。

しつけに体罰は不要です😄

もっと体罰について考えたい方は、2019年3月に公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが発表した『子どもに対するあらゆる体罰を禁止するために:よくある質問集』をご覧ください。

※1報告書『子どもの体やこころを傷つける罰のない社会を目指して』発表-国内2万人のしつけにおける体罰等に関する意識・実態調査結果-

https://www.savechildren.or.jp/scjcms/press.php?d=2658

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