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  • 執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

養育者こそ最善の判断ができる人

ポジティブ・ディシプリンは「子育て講座」の一つであるので

多くの養育者の方が、今ある子育ての問題を解決したくて参加してくださいます。


しかし、ポジティブ・ディシプリンは

養育者の方に「こんなふうに子どもに話して、こんなことをやってみてください」と

アドバイスをする講座ではないのです。

ましてや、「たたかないで、怒鳴らないで子育てをしましょう」と説法する講座でもありません。


では、何をするか、というと

養育者の困っていることを早く片付けてしまってお手柄をとろうとするのではなく

養育者の可能性に注目して、

養育者自身が本来持つ養育力が発揮されるように、必要な情報と環境を提供している

と私は言えると思います。


養育者は、毎日子どもを見続けてきて、話しをしてきて、子どものことを考え続けてきた、すごく価値ある存在です。養育者は、子どもの生活の中でしつけをどんな風に組み込むかについて、最善の判断ができる人だと考えます。

そんな養育者に向かって、お子さんのことを知らない人が「あーしなさい」「こうしなさい」と言って、養育者が積み上げている自分の価値を見失ってしまったら、それほど申し訳ないことはないでしょう。


では、具体的に

養育者自身が本来持つ養育力が発揮できるために必要な情報と環境

とは何なのでしょうか。


それは「正しい」子育てについての情報でなく

効果的」な子育てについての情報だと思います。


世界中で、子どもが悪いことをしたと思ったら叩く・罰を与えるという方法が「正しい」子育てと考えられていたことがあります。今もありますね。「正しい」は、時代や文化の影響を受けた信念であり、思い込みであることもあります。


数十年以上、子どもの発達や親子の関わりに関する研究がされ、

子どもの成長に「効果的」な子育てについて、たくさんのことが明らかになってきています。その「効果的」な子育ての秘訣を、ポジティブ・ディシプリンは4つに整理してお伝えします。


①長期的な目標を決めること

②温かさを与え、枠組みを示すこと

③子どもの考え方・感じ方を理解すること

④課題を解決すること


もっと詳しくはこちらをご覧ください(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのポジティブ・ディシプリン説明のサイト(外部リンク)


罰を与えるのが「正しい」子育てだった当時から、様々なことがわかり、

だいぶ前から専門家の中では、

体罰等は科学的には「正し」くなく、逆に子どもの成長に悪影響を与える確率を高めるもだというのが、共通認識です。

発達についての専門家は、今は以下のように述べます。


子どもの自発性や主体性が育つ前提には、保育者と子どもたちとの間に、安心できる関係性が成り立っている必要があります。※1
神経科学と心理学の調査・研究は、私たちが過剰にも過少にも興奮していない状態にあるときに、最も物事をよく吸収できると教えてくれている。※2

何かを教えようとするとき、子どもを怖がらせたり、脅かすことは逆効果で、子どもに安心感がある方が子どもはよく考え、理解がしやすくなります。

ですから、ポジティブ・ディシプリンの書籍※3では以下のように述べます。

子どもは学習者です。学習がいちばんうまくいくのは、支援を受けることができ、情報を与えられたときです。子どもの年齢に応じて、異なった「支え」と「情報」が必要になります。

ポジティブ・ディシプリンでは

子どもの年齢や子どもの個性に応じて、異なった「支え」と「情報」が必要であるため

子どもの発達段階や気質を学びます。


発達段階や気質を知り、子どもを理解できる知識を得た養育者は、

子どもの困った行動の裏にある気持ちや理由を、

他の養育者の話も聞き、よりたくさん考えつくことができます。

養育者自身が持つその想像力で、子どもに必要な「支え」と「情報」のアイディアが増えてきます。

そのアイディアこそが、養育者の養育力が発揮されている証だと思います。


養育者が知識を蓄え、知識を使って養育力を発揮するには、時間と練習が必要です。

ポジティブ・ディシプリン・プログラムは18時間をかけて

養育者の可能性に注目して

養育者自身が本来持つ養育力を発揮されるように、必要な情報と環境を提供します。


たった今のコロナ禍で、オンライン講座をちょっと開いて

すぐに皆さんの子育てのお困りごとを、

ポジティブ・ディシプリンの考え方で解決することができればいいですが、

このプログラムはそのようなものではありません。


養育者の皆さんに、私たちができる誠実な対応は

ポジティブ・ディシプリン・プログラムができる日のために、

開催準備をすることかと思います。

9月以降に養育者の方にお目にかかれるのを楽しみにして、準備をして参ります。


※1「気になる子の視点から保育を見直す!」久保山茂樹著 学事出版

※2「子どもの心の発達を支えるもの」グレイアム・ミュージック著 誠信書房

※3「ポジティブ・ディシプリンのすすめ」ジョーン・E・デュラント著 明石書店

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