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  • 執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

温かさを与えるアイディア『ハグハグキャンペーン』ご紹介


『ポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)』では、子育ての強力な道具を 2 つ紹介しています。それは『温かさを与える』ことと『枠組みを示す』こと。

最初は次のように言い換えたほうが、きっと分かりやすいですね。

・温かさを与える...子どもに安心・安全感を与える

・枠組みを示す...子どもに必要な情報や学びの材料・サポートを示す

効果的なしつけは、この2 つを一緒に使うとポジティブ・ディシプリンでは伝えています。

ポジティブ・ディシプリン講座の期間中に、

早速参加者の方が、『温かさ』と『枠組み』を一緒に使ってみて、効果に驚いて報告してくれるこ とがありますが、 どんなことが実際起こるのか、知りたいと思いませんか😄

今回おじゃました社会福祉法人 よしみ会さんの保育園で

ちょうどこの『温かさを与える』分かりやすい方法を「ハグハグキャンペーン」と題してやっていて、ビフォーアフターを伺うことが できました!


キャンペーンがどんなものかと言うと、

毎年保護者さんのモニターを募集して、

▶︎〜子どもをギューとだきしめる〜ことを意識して1ヶ月くらいする。

▶︎抱きしめながら、自分が人から言われると嬉しい言葉を子どもにシャワーのようにかけてあげ る。

▶︎それを1ヶ月続けて、アンケートに答える。

というキャンペーンです。

参加された方には粗品(ご近所の有名店のクッキー詰め合わせをハー トの入れ物に詰めて♡など)をプレゼントしているそうです。

これは、『温かさを与える』の影響が、よく分かるキャンペーンに違いない!と思い、中辻先生にお願いしたところ、快くアンケートを共有してくださいました。こちら😄



アンケート報告をご覧になって、みなさんはどうお感じになりましたか。

キャンペーンに参加された半数の方が、日頃からスキンシップの多い保護者さんなので、抱きしめることで「あまり変化は感じられない」という結果もありますが、ポジティブ・ディシプリンが 大切にしている「親子関係が強まる」結果も見られると思います。

私たちは、自分は相手に愛されていて、自分は大切な存在だと感じ安心感がある時

相手に協力的であろうとし

相手に注意されても、自分を嫌ってではなく、思いやってだろうと感じ

他の人に何かしてあげようと思い

何かにチャレンジする意欲や勇気が湧いてくるのではないでしょうか。

子どもも同じように感じます。

そのような温かな親子関係で、子どもに 『枠組み(情報・学びの材料やサポート)』を示せば 耳を傾け、チャレンジしてみる姿が見られます。 アンケートには、「お約束を守るようになった」・「優しくなった」などありますね。

このアンケートでは、別の面白い結果もあります。 それは、子どもを抱きしめることで


中辻祥代先生

 「自分にとっても心地よかった」

 「可愛さが増した」

と親が恵みを得たという答えの多さです。

中辻先生)

「 実は、ハグはお互い様なんです。

親は子どもからパワーをもらえる し、子どもも親の愛情を感じられる。恩師から、ハグは大事と教えて 頂いて、言われた時は私分からなかったです。けれど実際3人の子を育てていて、そういえばしんどい時『抱っこさせて〜』って子どもを 抱っこして、元気をもらっていたなと思い出して。キャンペーンにしたら面白いかもって思ったの が始まりです。すると思いがけない成果があって、これはいい!と思って続けていますし、機会を見つけてご紹介しています。」

子どもを育てる時、犠牲を払って、自分ばかりが我慢しているととても大変です。

幸福学では、人間を幸せにする因子を研究していますが、人を喜ばせること、愛情に満ちた関係は幸せの大きな因 子だと言います。

つまり子どもとの繋がりは私たちを幸せにします。

子どもは柔らかく温かでハグ をすると気持ちがいいです。子どもは、親が謝ると必ずと言っていいほど許してくれます。幼児は 無条件に親を愛します。

そんなことに気づきながら、お互い様の幸せを実感して、長い子育てを歩めるといいですね。

『温かさを与える』ための、ハグハグキャンペーンと実践のアンケート結果を共有してくださった ことを、心から感謝申し上げます。 ハグハグキャンペーン、みなさんのお宅でもぜひお試しください!

と、皆さんにだけやらせはしません(笑)

私も試しています。

娘は小学校高学年になったので、ハグは嫌なんじゃないかと思ったのですが、 ところがどっこい!「また、ハグしてね」と言われました。周りの保護者さんからしっかりしてい ると言われる娘ですし、私もこんなに喜んでくれるとはと驚き!

そして、学校から帰ると「疲れた〜」と言って、片付けなど後回しにしていた子が、ハグを始めて からすごく元気なのです。「ハグ狙いで」と自ら言って、嫌なことも積極的に取り組んでいます。

もう一つ、ハグをして気づいたことがあります。私にもやはり恵みが大きいのです。注意ばかりし ていると、子どもも反発するので、私のことが嫌いなのかと感じてきますが、ハグをする時娘から 愛されていることを存分に感じられて、安心して幸せでいられるのです。

このキャンペーンを考えた中辻先生、すごいです😄

中辻先生は、インタビューの時なんども「私たちは子どもを抱きしめて育てます」とおっしゃって いました。日頃様子を見ていて心配な子どもには、「明日必ずおいでね。またいっぱい抱きしめて あげるね」と言って、お預かりしている間は精一杯抱きしめて愛情をかけると話してくれました。

先生曰く、人がアウトサイダーになる一番の理由は「寂しい」から。だから子どもを寂しくさせて はいけない、子どもをいっぱい褒め、私たちは抱きしめて育むんだと。 そんな保育を実践して、益々ハグの力を知り、保護者の方にも知っていただく遊び心があるキャン ペーンを思いつかれたのでしょう。

『ハグ』マインドは保育園で様々な形で展開されています。

「養育者の方には、おべっかでなくほめて、ねぎらい感謝の気持ちを伝えるよう心がけています。」

それは、ママはすっごく大変だから。核家族で家事に育児に追い詰められるママは誰にも褒め られないことが多い。家事を削ってはあげられないので、せめて少しでも温かい気持ちで包み たいから言葉をかけます。

「子ども達のお食事は、温かいものは温かく冷たいものは冷たくして提供しています。」

それは、食事を作らないご家庭で食事をもらえない子どもに出会い、保育園で出す一食がどれ ほど大切なものかと思ったから。

「様々な家庭の事情により心配だな、と感じる子どもには、『かわいいねかわいいね』と言い何度も 抱きしめます。」

それは温かい愛情をどこかの時点で、子どもに覚えておいていただく必要があるから。

「そういうことが虐待やアウトサイダーを生まない、すごいすごい手前かもしれないけど私たちが できることだと信じて。」

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このブログで全3回にわたり、中辻祥代先生のインタビューと保育園の実践をお伝えしました。

『ポジティブ・ディシプリン』は

手をあげたり、叱ったりではなく、したい放題にさせるわけでもなく

日々の課題に子どもと同じ目線で向き合い、

自信とちからをのばしていく子育てです。

中辻先生の『デモクラティックな価値ある保育』も、

暴力とは無縁で、

子どもが日々自分で見つけた課題(テーマ)に集中できるよう安心で刺激ある環境を作り、

想像力とコミュニケーションの力を伸ばしていく保育でした。

このように、日本の子育てでも保育環境でも暴力や罰を使わず、温かさと枠組みで子どもの力を伸ばす関わりを多くの方がチャレンジしています。

一歩また一歩と歩みを続ければ、必ず前向きなしつけ(ポジティブ・ディシプリン)はできます。

その時見える光景は、ちょうど「ちぐさのもり保育園」で見られたような

異年齢も動植物もそれぞれ自分らしくありながら、一緒に共存する幸せな社会だと思います。

多くの親子を幸せにしますよう心から願い、インタビューに時間を惜しまず答えてくださった中辻 先生はじめ保育園の皆様に感謝を込めて、今回の取材記事を終わりと致します。

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