top of page
  • 執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

かんしゃくってなんなの?


以前のブログ

>子どもの「かんしゃく」というのは、即問題行動ではなく、逆に年齢や状況によって健やかに成長している時に必ずあるものです。

と書きましたが、かんしゃくで、大変な思いをしている養育者の方も多いのではないでしょうか。

私の場合、

子どもが3歳くらいから数年間、私が怒鳴っても泣いても子どものかんしゃくは収まることはなく、もう対抗する術とエネルギーが尽きて、

子どもが押したり物を投げてきたら階段からでも落ちて、子どもに自分の言動の恐ろしい顛末を見せよう!と、追い込まれてた時期がありました。

ポジティブ・ディシプリンの書籍にも「かんしゃく」にまつわることについて、以下のようなコラム


ポジティブ・ディシプリンのすすめ

で取り上げています。

 ・1〜2歳児に訪れる「いやだいやだ」の時期(P234)

 ・子どものかんしゃくについて(P248)

 ・子どもが遊びをやめ、違う行動に移るということ(P262)

書籍に記載されている内容は、私を納得させるものでした

>(略)この年頃の子どもはかんしゃくを起こすことがあります。心の中に不満がつのっても、それをどう発散すればいいのか、わかりません。自分の気持ちを表現できるほど言葉が発達していないのです。

 それでときどき、悲しみや落胆や不満のあまり、しゃがみ込んでしまいます。泣いたり、わめいたり、床に身を投げ出したりして、自分の気持ちを表現するのです。

 この気持ちがわかる親はたくさんいるでしょう。なぜなら、子どもが「やだ!」と言う理由がわからないとき、私たちも不満を感じて怒り出したくなることがあるからです。


虐待を受けた子どもの年代

そうして、ポジティブ・ディシプリンに支えられ、

今私の子どもたちは思春期にまで成長しています。身長は私を越え、虐待を受けやすい年齢も越え、私は身体的アドバンテージを利用した暴力で、もう子どもを傷つけることはないし、何とか育てることができたなぁとホッとしています。

振り返ってみて、あの時期は一体なんだったんだろうと思います。

私の経験に近いと感じることが、研究者によって説明されていました。

日本社会に特徴的な母子関係について、

子どもに対して「私は私、子は子」と言う精神的距離を取らずに一体化する、

うまくいっている時はいいのだけど、一度葛藤が生じマイナスの感情が生じると「憎しみ・恨み」型母子関係になる

と言うのです(参考:「子どもの反抗期における母親の発達」坂上裕子著 舩橋・堤(1992)の研究を引用)。

確かに私は、お腹に子どもを抱え、まさに一体化していた妊娠期から、

出産後はともに寝てともに起きて、ともに遊んで、子どもが泣き止まない時はともに苦しくてといった感じでした。

子どもがかんしゃくを起こして、攻撃的な言動をすると、

どうして私にそんなことをいうんだろう?どうして私を悲しませるんだろう?

と、まるで子どもが私と同じ立場(一体化)で気持ちを感じられると思ってたように思います。

そんな私は、子どもによって、子どもとともに、一人の人間として距離を持てるよう成長したようです。

上の書籍の終わりの方を引用します。

この時期の母親の葛藤経験は、母親が子どもとの間にそれまでとは質的に異なる新しい関係性を育んでいく上で、必要不可欠なものであると考えられる。すなわち、この時期に子どもと正面からぶつかり、自己の感情を見つめ直したり、子どもの視点から物事を捉え直したり、子どもへの新たな関わり方を模索していくことによって、自分自身や、子どもの発達、個性についての理解が深まり、それと同時に、互いの他者性を前提とした、相互の理解と譲歩に基づく互恵的な関係性を築いていくことが可能になるのではないだろうか。

私は、今はだいぶ子どもの感情に巻き込まれることがなくなりました。子どもがかんしゃくを起こしたり反抗してくれたからこそ、子どもと私は違うんだ、子どもの考え方・感じ方はどうなってるの、と思い、長い時間かかって多くの衝突場面を経て理解を続けてきたからだと思います。

そして今は、幼少期とはかなり違った親子関係になっています。子どもは「お母さんと自分は全然違う」と言いながら、自分を説明し、私と折り合いをつけますし、私も、私と違う子どもの個性に楽しさや尊敬、驚きや発見があります。

親子はお互いに発達できる存在で、私が人間として完成してるから親を任されたわけじゃ全くないし、もう大人で変わらないかと思いきや、子どもを始めとする周囲と影響し合ってジワジワと変化が続いていることに気づきます。

別の書籍も教えてくれます。

親子は、関係を維持することに強く動機づけられている。一方では、関与の強さは、時として親子間の葛藤を強めるように働く。と同時に、親子は互いに強く関与し、互いへの責任を共有することで、互いの視点や目標を学び、それらを調整しようとする。その結果、親子は、関係の質を変容させるようになる。親子は互いに異なりながら、なおかつ互いを理解し、必要としあうような新たな関係を作り出していくのである。

(引用:「親子関係の生涯発達心理学」氏家達夫 高濱裕子 編著)

グラフ:厚生労働省 「児童虐待の状況等」の数字より

bottom of page